The Story of Ubusuna-no-Sato TOMIMOTO
うぶすなの郷 TOMIMOTO 偉大な陶芸家を生んだ土地で紡ぐ新たな物語

奈良県安堵町にあるオーベルジュ うぶすなの郷 TOMIMOTO。日本初の人間国宝の一人で、近代を代表する陶芸家、富本憲吉の生家を改装した宿である。富本憲吉が愛した産土(うぶすな)で、四季折々の素材を生かした食を提供する。今回初めて、新しい年の門出にふさわしいおせち料理を数量限定で販売する。

うぶすなの郷 TOMIMOTO おせち「倭宴」
うぶすなの郷 TOMIMOTO料理長のおもてなしの心が詰まった、うぶすなの郷 TOMIMOTO おせち「倭宴」。全37品の贅沢な2段重。お祝いの席にふさわしい伊勢海老やあわび、キャビアなどの高級食材に、うぶすなの郷 TOMIMOTOを代表する「まほろば赤牛」など、山海の恵みが詰め込まれている。他にも奈良のブランド肉「郷ポーク」、「倭鴨」などの奈良県産食材も味わえる。10折のみの数量限定で販売する。


富本憲吉の“うぶすな”
今年、日本初の世界文化遺産登録から30年を迎えた法隆寺。そこからほど近い奈良県安堵町は、田園地帯が広がる大和盆地中央部に位置する、のどかな地域。だがここは、聖徳太子が都まで通ったとされる斑鳩と飛鳥を結ぶ太子道や、道中でひととき休んだ腰掛け石など、数多くの古の歴史と文化の香る場所である。
そこに1886年、旧家の息子として生まれたのが、日本の近代陶芸の父と謳われる富本憲吉である。彼は法隆寺に受け継がれる宝物の鑑賞、書や漢籍を学ぶなど、幼少の頃からこの安堵町で美意識を培ってきた。東京美術学校で建築、室内装飾を学び、イギリス人陶芸家のバーナード・リーチとの交流をきっかけに独学で陶芸を始めた。さまざまな陶芸技法の追求、郷土の風景から発見した図案など、オリジナリティを重んじる創作理念を作品に投影し、50年にわたって作陶に挑戦し続けた。晩年、磁器を色絵と金銀で彩った華麗で格調高い作品は高く評価され、1955年に第一回の人間国宝に指定され、61年には奈良県最初の文化勲章を受けている。

富本憲吉は生涯の中で幾度も安堵町に帰り、のどかな郷土の風景の中で創作活動を行っている。生家や作品は、没後に同郷の実業家によって整備され、富本憲吉記念館として運営されていたが、2012年に閉館。そこで奈良や大阪でホテル等の観光施設の運営を行う、株式会社ワールド・ヘリテイジが再生の使命を担った。2017年に1泊5万円を超す1日2組の宿、奈良の食材を活かしたレストランとして開業。ワンランク上の旅行体験ができる施設の予約サイト一休.comの近畿(大阪以外)エリアのクチコミランキングにて、1位に選ばれている。※2023年7月31日時点

うぶすなの郷 TOMIMOTO
うぶすなの郷 TOMIMOTOの宿泊客室は2室。富本憲吉が愛用した数寄屋造りの書斎をそのままに、伝統的な純和室とモダンな洋室を併設した『日新』。大正時代の土蔵をリノベーションしメゾネット式の客室『竹林月夜』。室内からは親友のバーナード・リーチと共に過ごしたであろう、月夜に照らされる美しい竹林をイメージした庭を眺めることができる。

大和民家様式の母屋は、レストラン『五風十雨』となり、季節ごとに訪れる自然の恵みを、豊かな味わいの料理としてお客様に提供している。改修にあたり、法隆寺の大野玄妙管長から「五風十雨」の書をいただいた。日ごとに風が吹き、十日ごとに雨が降る順調で穏やかな農耕に適した気候を意味する。
ゆったりとした時間の中で、富本憲吉のストーリーと悠久の大和の歴史・自然を五感で感じとり、未来に想い耽ける。それがうぶすなの郷 TOMIMOTOである。


食材本来の味を引き出す料理
うぶすなの郷 TOMIMOTOが持つ物語とは、富本憲吉が生まれ育ち、その風景や風土から模様を発見し、創作の源泉として彼が生涯を通じて大事にした場所であること。そして現在、その場所で料理長が生み出す料理である。
15歳で料理の世界に入り、大阪の数々の料亭で腕を振るってきた生粋の料理人 間康正氏が、奈良の地の食材を活かし展開する品々。うぶすなの郷 TOMIMOTOの料理は、料理長自ら直売所や農家を巡って地場野菜や茸などを吟味し、その時季の旬をお客様に届けるよう工夫されている。そのため、宿泊の料理メニューは、コースの大まかな流れは決まっているが、事前に聞き取りをした好みと仕入れた食材を見てから考えるのが常であり、その時季に足を運ばなければ出会えない。

会席や松花堂等で小鍋やメインで提供している「まほろば赤牛」は、宇陀の山奥にある広大な土地で飼育される、わずか30頭ほどと希少なもの。たんぱく質が豊富で霜降りが多すぎることなく、肉本来の旨味を存分に味わえる肉質である。うぶすなの郷 TOMIMOTOの料理コンセプト「身体に優しい料理」に合わせ、料理長が選定したものだ。
その新鮮な食材の味を引き出すために、料理長こだわりのブレンド出汁を使う。全5種類の出汁を食材の甘さ、香りだけでなく、季節に応じて配合を変える。さらに塩にもこだわりを見せる。瀬戸の粗塩やモンゴル岩塩、一度焼いてから砕いた沖縄の塩などを、こちらも食材に合わせて使い分ける。そのような細やかな手間により、食材本来の味を引き立てる優しい料理に仕上げている。富本憲吉が”うぶすな” を大切にしたことから、この土地のものを味わっていただくということが料理長の方針である。丹精込めた料理を彩るのは、料理長自ら選んだ器たち。美しい日常陶器を多くの人に届けたいと富本が取り組んだ普及用のブランド「富泉」の器も、運が良ければ、宿泊やランチでお目にかかれるかもしれない。


今回、うぶすなの郷 TOMIMOTOから初めておせち料理を数量限定で販売する。
いつかは安堵町まで足を運び、富本憲吉が愛した空間に浸り、心静かに過ごしてみたいもの。まずは、うぶすなの郷 TOMITOMOからお届けする祝い料理で、新年の始まりに華を添えてみてはいかがだろうか。
